第10章 ナナシとの関係
「いや、婚約者ではなくその振りをしていただけだ。
エルヴィンは見目も良いし地位もあるから縁談話が
後を絶たなかったらしい」
「ナナシっ!?何を言っているっ!?君は私に
『愛している』と言ったじゃないかっ!?」
「それは『夢』の話だろう?」
「君が『夢にしておいてくれないと恥ずかしくて死んでしまう』と
言うから、そういう事にしたんだ!」
「『死んでしまう』とは言ってない」
「だが『愛している』とは言っただろう!?」
不毛な言い争いを始めたエルヴィンとナナシに
一同は深い溜息を吐いたが、タフな心を持つエレンは
「団長、ナナシさんは嫌がってるじゃないですか」と
冷たい目を向けた。
「それは違うぞ、エレン。ナナシは極度のツンデレの
照れ屋さんなだけだ。皆がいると、このような憎まれ口を
・・・って、何故そんな目で見てくるんだ?」
「・・・いえ、別に」
エレンは明らかに冷め切った目でエルヴィンを見つめていた。
その心情を表すなら
「何言ってんだ?団長の独り善がりじゃんか」・・・だろう。