第9章 悪夢と決意
「ナナシっ!ナナシっ!!会いたかった!会いたかったよっ!!
どれだけ私が会いたかったかというと、今まで君に触れたことのある
男を全員殺してやりたくなるくらい会いたかった!!」
「・・・・冗談にも洒落にもならん事をほざくな。恐ろしい・・・・」
ナナシが呆れながらそう答えていると、
エルヴィンがむしゃぶりつくようなキスをしてきて、
抵抗する間もなく一気に壁際に追い込まれた。
腰に手を添えられ身体を持ち上げられるように
抱かれたナナシは、口内に侵入してくる分厚い舌に翻弄される。
すぐ傍にリヴァイがいるのに、と思うのに抗議の声も上げられず、
次第に身体からも力が抜けクタリとなった。
「あぁ・・・快楽に弱くてすぐに力が抜けてしまう身体は
正しくナナシだ。抱いた時のフィット感といい本物は何とも
素晴らしい」
うっとりした表情でそんな事を宣うエルヴィンを
殴りたくなったものの、骨抜きになった身体は言う事を聞かず、
代わりに舌打ちを零したが、真っ赤に染まった頬が
ナナシの心中を表しているので何の意味も成さない。
だが、エルヴィンの手が下半身を這い怪しい動きを見せ始めた為、
ナナシは己の身体を能力で操り渾身の一撃をエルヴィンの顔面に
叩き込んで床に沈めた。
不意打ちと馬鹿力による一撃で昏倒したエルヴィンを見て、
ナナシは「しまったっ!」と頭を抱える。
「つい顔を殴ってしまったっ!殴るなら顔以外と決めていたのに
何て事を・・・っ!」
「いや、てめぇが反省するとこはそこじゃねぇだろうっ!?」
リヴァイの鋭いツッコミも何のその・・・
ナナシは気絶したエルヴィンの足を持ち上げ引き摺って歩き始める。