第9章 悪夢と決意
「私は巨人よりも厄介な化物だから、お主の孤独を理解出来るよ。
人間の真似事しか出来ない私からしてみたら、
人間であるお主が羨ましい」
エレンはナナシの言っている事が理解できないのか
キョトンとしていたが、ナナシは構わず話を続ける。
「いいか、人間である事を誇れ。それがお主の能力制御の
指針になるはずだ。気をしっかり持って決して巨人化能力に
心を持っていかれるな。巨人化しなくても十分戦えるような
強い男になれ。今の所、私から言えるアドバイスは
こんな所だ。明日、お主の巨人化能力を見てから
訓練メニューを決めるつもりだが・・・・」
「それじゃあ、俺を鍛えてくれるんですかっ!?」
身を乗り出して聞いてくるエレンの瞳には強い光が宿っており、
先程まで泣いていた子供とは思えない程の眼光だった。
ナナシはそれにゾクリと身体を震わせる。
狂気じみた強い光は、エルヴィンを思わせた。