第7章 『制約』
暗い表情をしていたナナシがぬいぐるみを見た途端、
パァァと花が咲いたように微笑んだのを見て
リヴァイは複雑な思いを抱きながら、
ぬいぐるみと共に渡された裁縫セットも彼に手渡す。
それを見てナナシがまた「抜かりのない男だ」と笑ったので、
リヴァイは今度こそ舌打ちした。
面白くない。
エルヴィンの名を出しただけで、こんな表情をされては堪らなかった。
ナナシは兎も角、エルヴィンの場合絶対確信犯だ。
ナナシの心はもう自分の物だとリヴァイ達に
見せつけようとしているに決っている。
不機嫌そうに舌打ちしたリヴァイにナナシが首を傾げて
不思議そうにしているのが目に入ったので、
リヴァイは話を元に戻した。
「もうエルヴィンには報告しちまった。今更おまえが姿を消しても
あいつはどんな手を使ってでもおまえを見つけ出して
捕まえるだろう。もうお互い腹を括るしかねぇ」
「それはそうだが・・・」
モゴモゴとまだ何か言いたそうにしていたナナシだったが、
リヴァイの言う通りエルヴィンは地の果てまでも追ってきて
ナナシを捕まえるだろう。
そして捕まった後どうなるか・・・想像しただけで恐ろしい。
「余命の事は正直に話すしかねぇだろ」
「・・・・・・・・」
迷いを見せるナナシに、今まで黙っていたミケがある提案を
持ち掛けた。