第7章 『制約』
「エルヴィンがこの古城に来るまでまだ数日は掛かるはずだ。
ここでエレンの実験や訓練に付き合いながら、
言うか言わないか考えれば良い。俺達から余命の事は言わないでおく。
どうするかはナナシ次第だ」
「・・・成程」
ミケの提案にナナシは前向きに考えたようで、
コクリと頷いた。
それを見た三人が心中で「よっしゃ!」とガッツポーズを
した事にナナシは気づかない。
今のでナナシは「エレンに稽古をつける」事が決定したのだ。
普段無口で口下手なミケから、まさか嵌めるように
言質を取られるとは思ってもみなかったのだろう。
だから、ナナシが言質を取られた事に気付いたのは話し合いが終わって、
暫く経ってからで・・・その頃にはもうミケは古城を去り、
ナナシは地団駄を踏む羽目になった。