第7章 『制約』
「ナナシが何者なのか、誰に『制約』とやらを付けられたのかは
言わなくて良い。だが、その『制約』の中身を教えろ」
言い淀むナナシにフォローを入れたのはリヴァイで、
静かな声量だったにも関わらずハンジ達に
「何も聞くな」というプレッシャーを与え、
彼女を黙らせた。
ナナシが室内を見回した後、「地図はあるか?」と尋ねてきたので、
リヴァイはそれに従い地図を広げる。
ウォール・マリアまで描かれたその地図に指を這わせながら、
ナナシは自身が受けた『制約』について話し始めた。
「私は・・・ウォール・ローゼから外に行けない」
「・・・・・あ?どういう事だ?」
「そういう『制約』・・・呪いのようなものを掛けられた。
一歩でも外に出れば『死ぬ』」
「・・・・・・・・・・」
「だから、もう壁外調査には行けぬ」
三人は押し黙って、地図をなぞっているナナシの指を見つめた。
「シーナの一部にも足を踏み入れられない。理由は同じだ。
そして・・・・」
ナナシは一旦言葉を区切り、三人を真っ直ぐ見据える。
「私の命は五ヶ月弱しか保たん。そんな奴にまた教官の真似事が
出来るとでも?」