第6章 人の子
食堂のテーブルに、野菜スープ(和風味)と、パンと、
じゃがいものガレットと、サラダを並べ終えた頃、
身支度を整え直したリヴァイがやってきた為、
食事の時間となった。
醤油の他に自前の調味料を使ったスープと、
バターを活かしたじゃがいものガレットは皆に好評で
楽しげな会話が飛び交った。
美味いものを食べれば人間笑顔になるものだ。
リヴァイも先程の不機嫌さは鳴りを潜め、静かに食事を摂っている。
「美味しい・・・っ!どうやったら、こんな味が出るんですか?
ナナシさん」
「私は自前の調味料をいくつも持っているからな。
それを使っただけだ」
「私達の食事に自腹を払わせてしまって・・・何かすみません」
ペトラはそう言ったが、ナナシは全然気にしていないので
「自分が食べたいから使っただけだ」と返すしか彼女の心を
軽く出来ない。
悪いのは食費をケチっているエルヴィンだ。
齧り付くようにガレットを咀嚼していると、
廊下から慌ただしい足音が聞こえてきて乱暴に扉が開かれた。
「ナナシーーーっ!!帰ってきたってリヴァイから聞いたから
会いに来たよーっ!!」
「・・・・スン」
バーンと現れたのはハンジとミケだった。
ハンジは飛び付くようにナナシに抱きついて再会を喜び、
ミケは静かに背後に忍び寄りナナシの匂いを確かめるように嗅いだ。