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夢追い人の君へ捧げる【進撃の巨人 エルヴィン】

第6章 人の子









―――曰く、今日から数日間エルヴィンは王都で会議があるらしく、
リヴァイが本部に着いたのは彼が王都に立つ直前だったらしい。


リヴァイが「ナナシが戻った」と簡潔に告げると、
エルヴィンは幼児退行したように「会議なんかに行きたくない!
ナナシのいる古城に行きたいっ!」と駄々を捏ねまくったそうだ。

そんな姿を他の兵士に見せられないので、
リヴァイや幹部達でエルヴィンを何とか馬車に詰め込み、
王都に出発させたらしい。


馬車が出発する間際、エルヴィンはリヴァイに
「絶対ナナシを逃がすな!手を出すなっ!手を出したら
おまえの睾丸を潰してやるからなっ!」という言葉を残したと、
ゲッソリした顔でリヴァイは告げた。



エルヴィンを馬車に押し込む際、相当な抵抗にあったらしく、
リヴァイは少しボロボロになっていた。

自分がやった訳ではないが、申し訳なく思いリヴァイに謝ると
「おまえは何も悪くねぇから謝んな」と額を小突かれ、
彼なりの不器用な励ましに心がホッコリする。



「食事が出来ているぞ。冷めない内に食べてしまおう」

「・・・ほう?おまえが作ったのか?」

「あぁ。誰かさんが食費ケチっているみたいでじゃがいもだらけだが、
少しは腹が膨れるだろう。特にエレンみたいな育ち盛りには
食べさせないと身体の形成に影響が出てしまうかもしれないからな」


そう言うと、リヴァイは何かを探るようにナナシを見つめた。


「エレンに・・・会ったのか?」

「ん?あぁ、会ったぞ。食事の手伝いもしてくれた。
純粋で真っ直ぐで危なっかしい少年だな、あれは」

「・・・他に何か感じた事、思った事は無いか?」


ナナシもリヴァイを探るような目で見ると、
目を細めて「別に」と返す。

その態度が気に入らなかったのかリヴァイは眉間の皺を濃くして、
「食事の時、色々と話す」と言って食堂へ歩いて行ってしまった。


恐らくエルヴィンから情報開示の許可が下りたのだろう。

面倒な事に巻き込まれそうだなとナナシは肩を竦めた。





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