第31章 ●リヴァイとナナシ
「あやつは一度痛い目を見なければ、きっと私の気持ちなんか
理解してくれぬ・・・。私がどんな気持ちでここにいて、
・・・眷属達を見捨てる選択をしたかなど・・・」
悲痛な面持ちのナナシにリヴァイは暫し考える。
口振りからして、リヴァイの気持ちを利用して復讐しようと
している自分に嫌悪しながらも、エルヴィンをギャフンと
言わせたいのだろう。
正直、気持ちは痛い程わかるというか・・・今までよく
キレなかったなと尊敬に値する程のお人好しだ。
自分のナナシへの恋情を利用されるのは複雑だったが、
ナナシを抱けるという事実は実に魅力的な話だった。
「おい、俺がそれに乗ったら本当におまえを抱かせてくれんのか?」
単刀直入に尋ねると、ナナシはそれに首肯し
「利用してすまぬ」と謝罪の言葉を口にする。
「抱いてやっても良いがリスクが高い。あの野郎が俺を
五体満足な身体で生かしておくと思うのか?」
「それについては問題無い」
「・・・・どういう事だ?」
一番の問題点を解決済みだという返答をもらい、
怪訝な顔をするとナナシは一枚の紙を出してきて説明を始めた。