第29章 エルドの想い

「俺がそう思っているだけですから、それで良いんですよ。
あなたがどんな人間かは短いながらも一緒にいてわかりますし、
団長や兵長達のあなたへの態度を見れば、大体どんな
人柄なのかはわかりますから・・・」


そう言われて恥ずかしいやら擽ったいやらで頬を赤く染めると、
「そういう顔は団長の前だけでした方が良いですよ」と
言われて、首を傾げる。


「あなたは無自覚かもしれませんが、普段無表情なあなたが
顔に表情を乗せると、それだけでとても魅力的になるんですよ。
以前、オルオとペトラがあなたの笑顔を見てぶっ倒れた事
あったでしょ？それくらい魅力的なんです。あなたはもう少し
笑った方が良いですけど、そうなると団長が困りそうなので
色々難しい問題ですよね」


まるで口説かれているような言葉にナナシが少し困ったように
「お主はやはり女性慣れしているのだな」と言うと、
エルドも自覚があるのか「よく言われます」と茶目っ気
たっぷりに笑った。

リヴァイは本当に良い部下を持ったなぁと思うと同時に、
エルドや他のリヴァイ班には幸せになって欲しいと思って
しまうが、残念ながら自分は誰かに幸福を与えられるような
力は無い。

だが、一つだけナナシが出来る『まじない』があった。