第28章 何故、こうなったのか?
恐らくエルヴィンはそんなナナシの習性を熟知していて、
それに付け込んだだろう・・・。
悔しいがナナシと寝た事があるエルヴィンが、
そういう観察をしない訳がない。
そして、ナナシが自責の念に駆られ思い悩む事も
わかっているはず・・・。
本当に質の悪い男だと思う。
「撤回出来ないもんは悩んだってどうにもならねぇなら、
開き直っちまった方が良い。おまえには難しいかもしれないが、
ここにいる間だけでも眷属共の事は考えるな。あいつらだって
良い大人だ。あいつらがおまえと一緒に暮らす事を
選んだって事は、何があってもそれはあいつらの自己責任で
しかない。俺は少ししか奴らと話した事はないが、少なくとも
おまえの幸せを遠退かせるような足枷になんざ
なりたくないだろうよ。おまえも少しはあいつらを信じてやれ」
「・・・信じる・・・?」
「おまえもあいつらも互いに過保護過ぎると言った方が
正しいかもしれねぇな。お互いを尊重し合い過ぎて、
お互いの枷になっているように俺には見えるが?」
「・・・・・・・・・・」
リヴァイの話を聞いて、自分達を客観的に見ると
そう見えるのかと何故か納得出来た。
お互いに過保護という部分は大いにあると思うし、
家族同然だからそれが当たり前だと考えていたが、
ナナシは少し自分の中で色々考える必要があると思い直す。