第28章 何故、こうなったのか?
ナナシは暫く逡巡した後、ポツリポツリと少しずつ話し始めた。
「私は本当にエルヴィンに抵抗出来なかったのかと・・・
思って・・・」
「・・・あ?」
「・・・私は強い。お主にだって多分勝てる。それなのに、
あんなに簡単に抑え込まれてしまったのは、私がそれを望んで
いたからなのではないかと・・・」
「・・・・・・」
「本当はエルヴィンに縛られていたくて・・・でも眷属達にも
罪悪感があったから『どうにもならなかった』という言い訳が
欲しかったのではないかと自問自答している。
そうでなかったら、私がいくら快楽に弱くてもどうにでも
反撃出来たように思うのだ。今は力の制限はあまり受けていないし、
本当に嫌だったらエルヴィンを・・・・・痛っ!!」
ナナシの懺悔するような言葉を遮るようにリヴァイが
ナナシの首に噛み付くと、彼は驚いたようにビクリと震えた後
硬直した。
固まったナナシの様子をじっくり眺めたリヴァイは
血が少し出た噛み跡を一舐めした後、ゆっくり身体を離して
ナナシに語り掛ける。
「今、おまえは何も反応出来なかったな。確かにおまえは強い。
・・・だが、不器用で相手の事を一瞬でも考えちまうから、
今みたいに反応出来ず抵抗も出来ない。それが答えなんじゃ
ねぇのか?」
「・・・・リヴァイ・・・」