第28章 何故、こうなったのか?
「手当・・・背中まで自分で出来ねぇだろ?俺はおまえの
身体のことを知っている。手伝ってやるから、さっさと服を
脱げ」
不器用ながらも心配してくれるリヴァイに素直に甘えて、
ナナシはシャツを脱ぎリヴァイに背を向けると、
彼は一瞬言葉に詰まったようだった。
「・・・酷ぇな、こいつは」
ナナシの身体は背中だけではなく全身に歯型や痣があり、
所々擦りむいている状態で、リヴァイは思わず顔を顰める。
――これでは、まるで拷問のような・・・
「・・・いや、『ような』・・・じゃねぇな。こりゃ、
拷問だろ・・・」
「・・・え?」
ポツリと呟かれたリヴァイの言葉がよく聞き取れなかったのか、
ナナシが不思議そうに振り返ったが、すぐに「何でもねぇ」と
返して背中の消毒に掛かる。
歯型がある場所は割りと強く噛まれたのか出血している部分も
少なくなく、それを見たリヴァイは何とも言い難い想いを
抱いた。