第28章 何故、こうなったのか?
これを聞いた瞬間、三人の表情が憤怒の形相に変わった。
つまり、エルヴィンはナナシを暴行して無理矢理言質を
取ったという事である。
普通、愛しているからといって、そこまでやるかっ!?
しかも、ナナシの家族の命まで掛かっているというのに、
どこまで自分勝手なんだと憤慨する。
普段私情を挟まず、人類の為だけに生きているように見える
エルヴィンだったから、私生活では幸せになってほしいと
思っていたが、これではあまりにもナナシが不憫で
居た堪れなくなる。
「だが・・・全ては私の責任なのだ・・・」
「どういう事・・・?」
突然そんな事を言い出したナナシにハンジは怪訝な表情をして
尋ねたが、彼はまた少し黙り込み首を横に振った。
「・・・すまない。今、少し混乱していて上手く話せない。
まだ身体の手当が済んでおらぬから、今日はもう一人にして
くれないか?ミケ、送ってくれて感謝している。お礼は後日、
改めて・・・」
話を切り上げてしまったナナシに食い下がる訳もいかず、
ミケとハンジは部屋を出たが、リヴァイは一人部屋に残って
扉の鍵を締めた。