第28章 何故、こうなったのか?
「私を独占したい、と・・・。例え紙の上の事でも、
それがどれだけの犠牲を払い、どれだけの罰を受ける事に
なっても良い、と。私が生きている短い時間だけでも、
自分だけのものにしておきたい・・・というのが理由だった」
ハンジ、リヴァイ、ミケは大きな溜息を吐いて、
心の中で「あの野郎・・・」と呆れ果てる。
いい大人の癖に、こういう所はとんだお子様だなと三人は
思ったが、ふと疑問に思った事が浮かび、ナナシに尋ねた。
「でもさー、エルヴィンが離婚は絶対嫌だって駄々捏ねたとしても、
離婚調停とか色々起こしちゃえば良いじゃん」
ハンジはエルヴィンに暴行された事を差し引いても、
何故ナナシがここまで深刻そうな顔をしているのか、
わからなかった。
時間は掛かってしまうかもしれないが、離婚はやろうと思えば
出来るはずである。
それなのに、ナナシはそれが絶対出来ないと
決めつけているようで不思議に思った。
リヴァイもミケもハンジと同様の考えのようで、
ナナシの返答を待っていたら、彼は暗い表情で
その件について話し始める。
「私は・・・諸事情により一度約束してしまうと
反故に出来ない場合がある。エルヴィンはそれを看破していた。
結果、私はエルヴィンに約束させられてしまった。
・・・だから、もう自分からは離婚出来ない」