第28章 何故、こうなったのか?
「・・・馬鹿野郎。股から血ぃ流している奴は黙って運ばれていろ。
無理して馬なんか乗るから傷が広がっちまったんだろ」
「・・・すまぬ」
「いや、謝る必要はねぇ。こうなった原因はアイツなんだろ?」
「・・・・・・・・」
ナナシはその問いには答えなかったが、
リヴァイはそれを肯定とみなして廊下を急ぐ。
誰にも見つからない内にと思っていたが、
まだ寝ていなかったエルドが廊下の向こうから歩いてきたので、
思わず舌打ちした。
「兵長・・・?こんな夜中にどうし・・・って、ナナシさん!?」
「大声出すな、エルド」
ギロリと睨み付けると、エルドは背筋を伸ばし、
声量を落としながら謝罪する。
「も、申し訳ありませんっ!・・・ですが、何故ナナシさんが
そんな状態に・・・?」
最もな疑問だが、ここはスルーしろと睨み付けると、
察しの良いエルドは苦笑しながら、口を噤んだ。
しかし、目聡くナナシのスラックスが血で汚れている事に
気づいてしまったエルドは、つい「あの・・・もしかして
ナナシさんは・・・」と言いかけたものの、
言い終わる前に廊下の奥から現れたハンジによって遮られる。
「あー・・・エルド?ナナシはちょっと体調崩しちゃった
みたいなんだよね。でさ、デリケートな問題だから、
そっとしておいてくれると嬉しいんだけど・・・」