第28章 何故、こうなったのか?
ナナシはエルヴィンに全部事情を打ち明けに行ったはずだった。
多少揉めるとは思っていたが、ナナシがこんな状態に
なるまでやらかすとは思わなかったのだ。
恐らくナナシが目を覚ましたのは夕方頃で、
こちらには帰るに帰れない状況に追い込まれたのだろうと察する。
現に今のナナシは放心状態に近く、ミケとリヴァイが
身体を支えてやっと歩ける状態だった。
「痛・・・っ」
小さい声で痛みを訴え、歩みを止めたナナシに
「どこを痛めた?」と心配する。
腕か腰か身体全身なのかはわからなかったが、
ナナシがうっかりでも人前で「痛い」と零す事自体が稀だ。
ナナシは痛みに強いし、人前で弱音を吐かない性格だから
余計心配してしまう。
ナナシはリヴァイとミケに何か言おうと口を開きかけたが、
すぐに顔を赤くにして、また黙り込んでしまったので
二人は首を傾げていたが匂いに敏感なミケはある事に
気づき、膝をついた。
「血が・・・出ている」
ミケの見ている位置を把握したリヴァイは直ぐ様、
ナナシを抱き抱えミケにハンジから医療セットを
持ってくるよう頼んで、ナナシの部屋へと急ぐ。
リヴァイに抱かれて移動する間、ナナシは
「すまぬ、本当にすまぬ」と手で顔を隠しながら、
ずっと謝罪の言葉を口にしていた。