第27章 ●罪悪の時間
「つまり、今君から『離婚しない』という言質さえ取れれば、
君自身からは離婚が出来ないという事だな」
クツクツと喉で嗤う男が恐ろしくて、今になって漸く彼が
この状況に自分を追いやった理由に気づいたが、もう既に遅かった。
快楽で身体に力が入らない上、両腕は縛られ、自分より
大柄な男に抑えつけられては、抵抗らしい抵抗など
出来るはずもなく恐怖で身体が震える。
「あぁ、そんなに恐がらないで愛しい人よ。俺はただ君と
離婚したくないだけなんだ」
「な・・・何故・・・?」
エルヴィンにとっては紙の上の契約であって、何をそんなに
固執するのか理解できない。
このまま婚姻を継続するとナナシの家族に悪影響が出る等の
事情も話したし、ナナシとは違ってエルヴィンは契約に
縛られる事もないのに、
どうしてそこまでして継続しようというのか・・・。
「君は俺の気持ちの強さを過小評価し過ぎだ。俺は君を
独占したい。例え紙の上の事でもだ。それがどれだけの
犠牲を払い、どれだけの罰を受ける事になっても君が欲しい。
君はもうすぐ逝ってしまう。ならば、その短い時間だけでも、
君を俺だけのものにしておきたい。・・・離婚したくない
理由はそれだけだ」
「身勝手過ぎる」と非難しようとした瞬間、性器を強く
揉みしだかれ嬌声を上げると、エルヴィンの目に獰猛な光が宿る。
「これからする事は君にとって辛いものとなるだろう。
楽になりたければ早めに離婚しないと言いなさい」
「やめ・・・っ!!」
今までにないくらい指の動きが激しくなり、ナナシは
言葉を発する余裕が無くなるほど甘い痺れが全身を侵食し、
あっという間に吐精してしまった。
解放感でビクビクと身体を震わせていると、エルヴィンは
受け止めた精液を秘部に塗り始め、指を少しずつ侵入させていく。
ナナシは働かない頭で侵入を阻止しようと身体を捻ろうとしたが、
彼の太い腕がガッチリ身体を固定していてそれも叶わなかった。