第27章 ●罪悪の時間
「ああああああああ・・・・っ!!」
痛みと快楽で絶叫に近い声を上げたナナシに
「おっと、すまない」と全く悪怯れる様子もなく
エルヴィンは謝罪する。
何故自分がこんな目にあっているのか理解出来ていない
ナナシはボロボロと涙を零し、必死にエルヴィンへ訴えた。
「頼む・・やめて・・・くれ・・・。何を怒って・・・」
「君は本当に何もわかっていない」
押し寄せる快楽の中、自分はまた何かを間違えて
しまったのだろうかと考えたが、こんな状況できちんと考える事が
出来るはずもなく、エルヴィンにそれを問う事しか出来なかった。
「何度も言っただろう?俺は君と離婚しない、と。それが
どんな犠牲の上でも・・・」
「・・・だ、・・だが・・・・」
「あぁ・・・あと、君に一つ聞いておきたい事があるんだ」
ナナシの声を遮り、酷薄な目で見下ろしてきたエルヴィンの口は
弧を描いていて、彼が良くない事を考えていると直感した。
「君は以前から約束した事は必ず守るし、
逆に確約出来そうもない事は約束しないね?それはつまり
『君という存在』は約束を違える事が出来ない、もしくは
ある程度の制約を受けてしまうのではないか?」
エルヴィンから告げられた言葉に、ナナシの背筋が凍りつく。
それは半分当たりで、ナナシは口約束だろうと、
それをしてしまうと何らかの制約を受けてしまうのだ。
ナナシの動揺を是ととったエルヴィンは口元を歪めながら
「やはり、そうか」と指の動きに強弱をつけ始める。