第27章 ●罪悪の時間
「成程・・・君は眷属達のせいで幸せになれない・・・と」
そう言われた瞬間、ナナシの頭に血が上って叫ぶように否定する。
「違うっ!逆だっ!!私のせいで彼らが不幸になってしまうんだっ!
あやつらは何も悪くないっ!悪いのは全部私なんだっ!
だから、少しでも罪を・・・っ!」
「そうだね。だが、彼らが存在するせいで君が今だけでも
幸せになれないのは事実だろう?」
「前提が違うっ!私にはあやつらを拾った責任がある!
それなのに、自分勝手に生きてしまって迷惑を掛けて
しまっているんだっ!」
「ならば聞くが、彼らは君に『自分達の為に幸せを掴まないで下さい』
とでも言った事があるのか?」
「・・・・それは・・・・・」
エルヴィンの言葉にナナシは言葉が続けられなくなり黙り込む。
眷属達はいつもナナシの幸せを願ってくれていて、
そんな事は一言も言わなかった。
逆に「自分達の事は気にせず、幸せになって欲しい」と
常々言われていたような気がする。
押し黙るナナシにエルヴィンはもう一度溜息を吐いて静かに言った。