第27章 ●罪悪の時間
「一度繋いでしまった縁を撤回して、それで許される事なのかは
よくわからない。だが、少しでも可能性があるならば、
考えつく限りの軽減策を取りたいと考えておる。
私は兎も角、何も悪くない眷属達が罪に問われるのは何としても
避けたいのだ。頼む・・・わかってくれ、エルヴィンっ!!」
自分は最低だとナナシは思った。
自分の都合で、自分を好いてくれているエルヴィンに
残酷なお願いをして、傷つけている。
最初から話していれば、こんな事にはならなかったかも
しれないのに、と後悔するが遅すぎた。
自分は恐かったのだ。
話せば面倒臭がられ、エルヴィンに嫌われてしまうかもしれないと・・・。
だが、その臆病さのせいで今最悪な事態になってしまっている。
自分はなんて愚かなのだと自己嫌悪に陥っていた。
エルヴィンは何かを言おうと口を開きかけたが、
すぐに口を閉じてジッとナナシを見据えるようにしたまま
何かを考えているようだった。
「すまない、エルヴィン。私は・・・幸せになってはならぬのだ」
誰かの犠牲の上成り立った幸せを享受出来る程、
ナナシの心は図太くない。
エルヴィンにわかってほしくて必死に言い募っていると、
彼は大きく溜息を吐いた。