第26章 迷い
「・・・だ・・め・・・。今は・・・昼間・・・」
「あぁ、そうだな」
漸く離れた唇から息も絶え絶えに訴えてみたが、
エルヴィンは乱暴にジャケットを脱ぎ捨て、ナナシの服を
剥いていく。
「全く抵抗しない君が悪い。そんな可愛い反応をされて、
俺が君を求めないと思う方が間違いだ」
酷い男の言い分にナナシは何故だか笑いがこみ上げてきた。
珍しく抵抗もせず、されるがままのナナシに違和感を覚えた
エルヴィンだったが、彼が満更でも無さそうな様子だったので
服を剥く手は止めなかった。
だが・・・ナナシのこの反応は過去に見た覚えがあり、
不安が募る。
「・・・もしかして、君は今弱っているのか?」
そう・・・この献身的な反応は、かつてナナシと共に過ごした
最期の夜の反応と同じだった。
流石に手を止め、ナナシを注視したが、彼は優しく微笑み
「身体は大丈夫」とエルヴィンを求めるように両手を広げた。
「なぁ、早くしてくれ。お主のせいで下着の中が辛いんだ。
夜に・・・起きられれば良いから頼む」
ナナシのおねだりに理性を飛ばしそうになったものの、
不安が更に募ったエルヴィンは心配そうに尋ねる。