第25章 ナナシのモテ度
「へぇ~ナナシってちゃんとエルヴィンの事好きだったんだ~。
いつも酷い目に合わされてる上、無理矢理な事が多いから
てっきり嫌々合わせてるのかと思ってたよ。あー良い話
聞いちゃった」
瞬時に移動してハンジの胸倉を掴んだナナシは、
凶悪な表情で彼女を睨み上げる。
「絶っ対言うなよっ!言ったら最後、あやつは調子に乗って
好き放題するに決まっておる!」
「ん~・・・どうしよっかなぁ。ナナシはもう壁外遠征に
行けないから巨人生け捕りにしてっていうお願いは出来ないし・・・」
意地の悪い笑みを浮かべながら宣うハンジを殴りたくなったが、
エレンが「人を脅すなんて最低ですよ、ハンジさん」と
援護射撃してくれたので、寸での所で踏み止まった。
ハンジは「チェ~ッ」と唇を尖らせていたが、
元から冗談だったようであっさり引き下がる。
「ま、本当にそんな事バレたら連日連夜押し掛けてヤバい事に
なるよね~。調査兵団が機能しなくなったら困るし・・・。
・・・ところでさ、エレン。やけにナナシの肩持って
エルヴィンに突っかかるけど・・・もしかして、ナナシに
惚れちゃった~?」
まるで酔っぱらいのように今度はエレンに絡み出したハンジに、
ナナシは掴んだままの胸倉を軽く揺らした。
「良い大人が子供に絡むな。迷惑だろう?エレンは
ミカサという恋人もいるんだし、私のような小男相手に
発情するのは変態であるエルヴィンだけだ!」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
そうナナシが発した瞬間、その場に微妙な空気が流れた・・・。