第25章 ナナシのモテ度
「あー・・・エレン、落ち着いて聞いてほしい。
確かにエルヴィンは目的の為には手段を選ばないし
子供のようなところはあるが、その頭脳は他の追随を
許さないものだぞ。人より多くの事を考え先を見通しておる。
・・・まぁ考えすぎな所もあるが、あれ程調査兵団を
率いる才能を持った逸材は後には存在せぬぞ」
「ですが・・・」
「それにな、これでも私はエルヴィンに惚れておるのだよ」
「え・・・?」
エレンの目が驚愕に見開かれるのを見つめながら、
ナナシは静かに続ける。
「事情があって結婚したくなかったのは事実だ。
・・・それに本当に抱かれるのが嫌だったら抵抗する事も
出来た。それをしなかったのは私だから、エルヴィンだけが
悪い訳ではない。そんな訳だから、あまり嫌ってくれるな」
「・・・・・・・・・・」
エレンは暫く逡巡するように目を泳がせたが、
少しすると躊躇いがちに尋ねた。
「両・・・想いって事ですか?」
「あぁ、そうなるな」
直球に尋ねてくるエレンにぼかした言い方は良くないと思い
そう答えたが、実際口にするとかなり恥ずかしいなと
ナナシの顔が赤くなる。
大体何故自分がこんな恥ずかしい思いをしてまで
エルヴィンの弁護をせねばならないのか。
ふつふつとエルヴィンへの怒りが込み上げた時、
背後から「ヒュ~ッ!」という声が聞こえてきたので
振り返ると、そこにはニマニマと笑みを浮かべたハンジと
仏頂面のリヴァイが佇んでいた。