第25章 ナナシのモテ度
何故かエレンが押し黙って床を睨み付け始めてしまったので、
ナナシはどうすべきなのか迷いその場で立ち尽くす。
少しするとエレンは意を決したようにナナシを見つめ、
拳を握り締めながら言った。
「俺ハンジさん達が話しているの聞いちゃいました。
ナナシさんは望んでもいないのに団長と結婚させられたって。
挙げ句に無理矢理抱いたって。俺それ聞いて団長が
許せなくなりました!俺だったらナナシさんを
悲しませるような事しないのに!」
「ま、待て!エレン!」
一気に捲し立てるように言ったエレンに取り敢えず
待ったをかけたナナシは、こめかみを抑えながら
エレンの言った事を咀嚼しどう誤解を解くか頭を悩ませる。
エレンの言った事は間違ってはいない。
望んでもいない結婚をさせられ、薬を盛られて
半ば強姦されたのは事実だが・・・・、
・・・何やら誤解されている気がするのだ。
まずはその誤解を解いた方が良いと判断したものの、
何をどう説明すべきかナナシが考え倦ねていると、
エレンが暗い表情をしながら言った。
「正直見損ないました。団長は人類の為に巨人と戦っている
清廉潔白な大人だと思っていたのに、裏では汚ない事を
していたなんて・・・」
・・・エレンはエルヴィンに一体どのような理想を
持っていたのだろうか?
巨人と戦っているからこそ清廉潔白ではいられないというのに・・・・。
取り敢えずエルヴィンの人格には問題はあるが、
その能力は疑いようもないのでエレンの誤解を解こうと口を開いた。