第23章 卑猥物
「取り敢えず、今日はナナシを部屋から出さない方が良いね。
・・・動けないだろうけど」
「その通りだ、ハンジ。間違ってもエレンには会わせないように・・・」
「俺がどうかしましたか?」
ハンジとエルヴィンの会話に入ってきたのは、
今正に名を挙げたエレン・イェーガーで、掃除の途中だったのか
箒を持ったまま此方に近づいてきていた。
「あれ?ナナシさんどうかしたんですか?何で団長に抱かれて・・・・」
「エ、エレン、待て!近づくな。間違っても今ナナシを
見るんじゃない!」
「はい?」
意味がわからないと首を傾げるエレンに、エルヴィンは
警戒心を抱く。
常々エレンはナナシに気があるような素振りを見せていた。
そんなエレンが発情フェロモンを垂れ流しているナナシを見たら、
その若い欲望が暴発するのではないかという危機意識を
抱くのも当然である。
エレンは従順に上司の命令を守り立ち止まったが、
古城の中に入るにはエレンのすぐ横を通過する以外道がない。