第23章 卑猥物
エルヴィンは意を決して足早にエレンの横を通り過ぎようとしたが、
そこでアクシデントが発生した。
ナナシが歩く刺激で突然「アンッ!」というあられもない声を
上げてしまったのである。
それにはその場に居た誰もがギョッとし、ナナシを凝視した。
エレンも漏れ無くナナシを凝視し、その姿を目に入れた瞬間
顔を真っ赤に染め、口をパクパク開閉させる。
「だ、だ、だ、団長!!ナナシさんは一体どうしちゃったんですかっ!?」
死に急ぎ野郎であるエレンに、「問うな」と言う方が無理だろうが、
エルヴィンはその問いを無視して戦略的撤退を余儀無くされた。
まずはこの卑猥物を部屋に送り届けることが先決だと
判断したからである。
脱兎の勢いで立ち去っていったエルヴィン(とナナシ)を
呆然と見つめた面々は、結局エレンからのマシンガン質問を
一身に受ける羽目になるのだった。