第22章 相手は誰だ!?
「な、何だ?まだ何かあるのか?」
「これはとても重大な事だ」
エルヴィンが真剣そうな顔で言ってきたので、
ナナシも真面目に見つめ返すと、彼はナナシの手を握って
こんな事を言い出した。
「私達は名実ともに『夫婦』になった。昨夜は君に仕事が
あると思い我慢したが、今日はもうその必要はないと考えたから
言うよ?夫婦としてまず最初にやるべき事・・・それは
『初夜の営み』じゃないかと思うんだが・・・・・」
「・・・・・・・・・死ね」
リヴァイ並みに凶悪面を晒しながらナナシがそう吐き捨てたが、
エルヴィンは全然退かなかった。
「君が極度の恥ずかしがり屋さんだというのはわかっているが、
そんな事言われたら流石の私も傷つくよ」
「大いに傷つけ!私も昨日お主から受けた精神的ダメージが
酷くて慰謝料を請求したいくらいだ」
「君が傷ついたというなら、この胸でその傷を癒やすと良い」
「絶対嫌だ。私はもう自分の部屋で寝る」
何を言っても無駄だと判断したナナシがエルヴィンの手を
振り払って扉に向かうと、突然首筋に針のような何かを
刺され反射的にそれを叩き落とした。
視線を落とすと床には割れた注射器が転がっており、
「嘘だろ?」という気持ちでエルヴィンを見上げる。