第22章 相手は誰だ!?
ナナシはヨロヨロと立ち上がると、エルヴィンに向かって叫んだ。
「離婚だっ!こんな人を嵌めるようなやり方で出した
婚姻届けなど無効だっ!絶対離婚してやるっ!」
「もう役所は受理した。この事実は変えられない上、
どんな拷問を受けようとも私は離婚届けにサインするつもりは
無いよ」
サラリとナナシの叫びを却下したエルヴィンは、
本当に綺麗に微笑っていた。
「ならば、訴えて・・・っ!」
「君が私を訴えた所で調査兵団団長である私と、
氏素性も定かではない君と、どっちが有利か賢い君なら
わかるだろう?」
「・・・私の戸籍・・・無かったはずなのに、どうやって・・・」
「それはナイルを脅・・・ナイルに頼んで作ってもらったんだ。
そうでなければ結婚出来ないだろう?」
ナイル・・・
そうか!彼なら何とかこの結婚を無効に出来るかもしれない!
ナイルがダメだったらピクシスにでも相談して何とかして
貰えれば・・・っ!
そう考えた矢先、「――もしも・・・」とエルヴィンが
低い声音を出した。