第22章 相手は誰だ!?
―――【此方の紙には『ナナリー』の名前を書いてくれないか?
私と連名という感じで出したいんだ】
そう言ってエルヴィンが何かの紙を出してきたのは覚えているが、
それが何かまでよく確認せず書類にサインしてしまった気がする。
「・・・・・・・まさか、あの時の・・・?」
恐る恐るといった感じで尋ねると、エルヴィンはそれはもう
良い笑顔で「そうだよ」と肯定した。
「―――――――――――っ!!!???」
嵌められたぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!
声にならない悲鳴を上げながら床に膝をつくと、
その様子で何となく事情を察したナナバとミケは
同情の眼差しをナナシに向けた。
「そんな声にならないくらい感動してくれるなんて、
私も嬉しいよナナシ」
ニコニコと空気を読まないエルヴィンがそんな事を宣ったが、
ナナシは嬉しさで悲鳴をあげた訳ではない。
目的のためならどんな手段も使うとはわかっていたが、
まさかエルヴィンがこんな強硬手段に出るとは思わなかっただけだ。
いや、これは自分が警戒を怠った結果だとすぐに思い直す。
エルヴィンの場合、常に予想の斜め上をいく発想の持ち主だと
考えて付き合わなければならないので、これは完全に
ナナシの落ち度・・・。
エルヴィン・スミスの行動力を甘く見過ぎていたのだ。