第22章 相手は誰だ!?
――『エルヴィン・スミス』と『ナナリー・スミス』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ん?
ナナリー?
どこかで聞いたような名前だなと不思議に思っていると、
エルヴィンが漸く口を開いた。
「昨夜、君が婚姻届けにサインしてくれたので、
今日オルオに頼んで役所に提出してきた。本当は自分で
行きたかったのだが、少しでも君と一緒にいたかったから、
つい頼んでしまった。すまない、ナナシ」
「・・・・・え・・・・?」
ちょっと、待て。
自分は婚姻届けにサインした覚えは微塵もない。
昨夜の記憶を辿っても書いたのは礼状だけなはずである。
ナナシは暫くの間困惑していたが、一つだけ不審な記憶が
頭を過り身体を硬直させた。