第22章 相手は誰だ!?
「エルヴィン、入るよ!」
ノックもおざなりに扉を開けたナナバは、執務椅子に座って
仕事をしているエルヴィンに鋭い眼光を向けたまま、
ズカズカ歩み寄った。
「返事を返す前に入室してくるとはナナバらしくないな」
団長執務室にはミケも居て、いつもとは違う様子のナナバに
首を傾げていたが、ナナバは彼の相手はせず真っ直ぐ
エルヴィンを見据えた。
「食堂でちょっと小耳に挟んだんだけど、結婚したんだって?
エルヴィン」
「あぁ、した」
「誰と?」
しれっと答えるエルヴィンに苛立ちを募らせながら
ナナバが言うと、彼は抽斗から一枚の紙を取り出し、
机の上に置いた。
「これがその証明書だ」
淡々とありのままを告げるエルヴィンに眉を顰めながら
ナナバがその紙を手に取ったので、ナナシも彼女の背中から
覗き込むようにその紙面を見つめる。
それは確かに入籍を受理したという証明書で、
エルヴィンの名とその妻の名が書かれていた。