• テキストサイズ

夢追い人の君へ捧げる【進撃の巨人 エルヴィン】

第20章 それぞれの愛








ナナシはペンを置いて、エルヴィンの手の甲を思い切り抓った。


「いたたたっ!!」


エルヴィンが非難めいた悲鳴を上げたのですぐに手を離すと、
ナナシは彼を睨みつけた。


「確かにソロモンは私にとって特別な存在だ。だが、
その想いを断ち切らせたのは一体誰だ?その事をよく考えてから
物を言え、小童!」

「っ!!」


遠回しだが、今想っているのはソロモンではなくおまえだと
暗に告げると、目を見開いて驚いていたエルヴィンの頬が
徐々に紅潮していって、ナナシまで顔が熱くなった。


「そ、それは・・・俺を愛していると言ってくれているのか?」


気恥ずかしくなって「言うんじゃなかった」と思ったが、
エルヴィンがとても幸せそうに微笑んだので、
その考えもすぐ消える。


「そう・・・か。すまない。変な事で嫉妬してしまって。
俺は君の事になると周りが見えなくなってしまうんだ」

「そんな事知ってる。だが、見え無さ過ぎだ。そんな事では
此方も困る」

「返す言葉もない・・・。だが、今のは嬉しかった。
君からはっきりと愛の言葉を聞いたのは、『あの時』以来
だったから・・・・」


『あの時』とはエルヴィンと最期の夜を過ごした時の事だろう。

直後ナナシの身体は死んでしまったので、
エルヴィンが傷ついていないかずっと心配だった。





/ 358ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp