第19章 『神』という存在とは・・・?
ナナシが渋るのには深い事情があったが、
エルヴィンにそれを伝えるのも憚られた。
それはナナシがこの世界に干渉すればする程、
ナナシの罪過が重くなるという事だった。
これを伝えればきっとエルヴィンは引き下がってくれるだろう。
だが、それは彼に対する脅しのように感じられ、
なかなか言い出せなかった。
キュッと口を引き結び、どうエルヴィンを説得するか
考えていると、彼の双眼が一瞬見開かれ、次にその男らしい眉が
悲しそうに下げられた。
「・・・・君は、まだ俺に隠し事があるのか」
「え・・・・?」
重大な隠し事を話さない時見られるナナシの癖を看破した
エルヴィンは、彼が何をそんなに隠そうとしているか思考を
巡らせたが、考えが纏まらず苛立つ。
仮にそれがナナシの世界の事だったなら、
エルヴィンは無知で何もわからない。
歯痒い想いを抱えながらエルヴィンはナナシの上から身体を
退かした。