第19章 『神』という存在とは・・・?
「もう新兵の模擬戦が始まっている頃だ。早く行くといい。
私も仕事に戻る」
「エ、エルヴィン・・・っ!?」
ナナシの制止を無視してエルヴィンは足早に部屋から
出て行ってしまった。
突然態度を変えたエルヴィンにナナシは呆然とする。
「・・・怒らせて・・・しまったのか・・・?
エルヴィン・・・・」
傷つけたくないから言い出せないのに、
これでは本末転倒な気がしたが、怒らせてしまったものは
仕方無い。
「どうすれば良いのかわからぬのだ・・・・」
ナナシの罪が自分一人に降りかかるならば、
甘んじてそれを受け入れただろう。
だが、ナナシの罪が重くなればなる程、眷属達にも
影響を及ぼしてしまえば、安易にそれも出来なかった。
自分一人の幸福を引き換えに、家族にも等しい眷属達に
迷惑は掛けられない。
ナナシは大きく溜息を吐いた後、重い足取りで訓練場へ向かった。