第19章 『神』という存在とは・・・?
足跡を残したくないというのは何となくわかる。
それはナナシが人ではないという理由からだろう。
だが、エルヴィンとしては何としてもナナシが存在した証が
欲しかったので、素直に頷く事は出来なかった。
「ナナシ・・・それは君が人ではないという理由からだな?」
「あぁ・・・」
「俺は君の考えとは逆で、君の足跡を残したいと思っている。
それは調査兵団に尽力してくれたナナシという一人の
人間としての足跡だ。人類最強であるリヴァイの他に君という
凄い存在がいたのだと俺は皆に知らしめたいと考えている」
「・・・・・・・・・・」
「お願いだ、ナナシ。俺と結婚してくれ」
顔の横に置かれたエルヴィンの手に力が入り拳を作る。
彼がどれほどの想いで懇願しているのか、辛そうな表情を見れば
鈍感なナナシでも理解出来た。
だが・・・・
「わ、私はあと五ヶ月しか・・・っ!」
「構わない!例え短くとも俺は幸せだっ!」
「戸籍も無いし・・・」
「そんなものいくらでも作ってみせるさ」
「私は素直になれないし、お主を満足させられない・・・っ!」
「それでも良いんだ!それでも君が欲しい!」
いくら反論しても真剣なエルヴィンを納得させる事は
出来そうになかった。