第19章 『神』という存在とは・・・?
ハァハァと呼吸を荒くしながら言葉を発するエルヴィンの目は
血に飢えた獣のような光を宿していた。
明らかに発情しているエルヴィンにナナシはマズイと感じ、
伸し掛かってくる彼の身体を退かすように腕を突っぱねる。
「待て!落ち着け!まだ話したいことが・・・っ!」
「待てない!私はすぐに君の身体を堪能したいんだっ!」
――――ドスッ!
ナナシの拳がエルヴィンの腹に入り悶絶する羽目になったが、
ナナシはお構いなしに話し始める。
「お主が恋人だとか婚約者だとか言うのをやめて欲しい」
「――――ゴホッ!・・・そ・・それは、何故・・・?」
苦しそうに咳き込みながらも尋ねてきたエルヴィンに
ナナシは悲しそうな表情で言った。
「どうせ添い遂げられぬとわかっているのに、虚しすぎる」
「・・・・・・・・・」
「それに・・・・」
「・・・それに?」
「『恋人』だの『婚約者』だのという枠に囚われたくはない。
そうしなければ壊れる関係ならそれまでだ。私はエルヴィンの
道に余計な物を残したくはないのだ」
「君は決して余計なものなんかじゃ・・・っ!」
「言い方が悪かった。・・・私はこの世にあまり足跡を
残したくはない。この理由で納得してくれ」
「・・・・・・・・・っ」