第19章 『神』という存在とは・・・?
浴室から出ると、エルヴィンはベッドに腰掛け何かを
考えるようにじっと床を見つめていたが、ナナシに気づくと
「少しは温まった?」と微笑を浮かべた。
元気のないエルヴィンに違和感を覚えたナナシは、
エルヴィンの正面に立ちその顔を覗き込む。
「どうした?いつもと違うぞ」
「・・・いつもと違うとは?」
「いつもだったら強引に服を脱がそうとしたり、
浴室に入ってこようとしてくるではないか。
普通の人間みたいな反応は・・・らしくない」
「ははっ・・・酷いな。私は普通の人間だよ」
力無く笑ったエルヴィンは、やはりいつもの彼ではなかった。
ナナシはムスッとしながら座っているエルヴィンの頭を掻き抱く。
「何だ?一体どのような下らない事を考えている?」
「・・・・下らなくはない。だが、考えても詮無いことだ」
「それでも良い。言ってみろ」
「・・・・・・・・」
エルヴィンは恐る恐ると言った様子でナナシの腰に腕を回し
抱きつくと、独白するように話し始めた。