第19章 『神』という存在とは・・・?
連れて行かれたのは以前ナナシが使っていた部屋だった。
エルヴィンは当たり前のようにクローゼットを漁り、
替えの服を引っ張り出すと、所在なげに佇んでいるナナシに
眉を寄せる。
「ナナシ、早く服を脱いで身体を拭きなさい。
それかシャワーでも浴びたらどうだ?」
「・・・・・・お主が出て行ったら・・・」
警戒心を抱くナナシに対してエルヴィンは呆れたように
溜息を吐くと、キッと眼光を鋭くさせた。
「今優先すべき事を見誤るな。君に風邪を引かれ寝込まれては
調査兵団の為にもならないし、エレンの強化にも支障が出る。
我儘を言ってないで早く着替えなさい」
エルヴィンはそう言うと着替えをナナシに渡し、
浴室へと押し込んだ。
一人浴室に放り込まれたナナシは目を丸くし、
閉じられた扉を呆然と見つめる。
てっきり「一緒に入ろう」とか「着替えさせてあげよう」とか
言い出すと思い込んでいたので、今のような対応をされるとは
思わなかったのだ。
やられると困るが、いつものようなやり取りが無いと
変な感じだなという感想を抱きつつ、ナナシは彼の言葉に
従いシャワーを浴びることにした。