第17章 104期生
「補習訓練を心配するよりこの子の事を考えないと・・・。
貴女、さぁ行きましょう」
クリスタに手を引かれ歩き出した所で「何かあったの?」と
聞き覚えのある声が聞こえてきたので、ナナシはその声の
主の名前を呼んだ。
「アルミン!」
「え?」
現れたのはアルミンで、その後ろにはミカサもいた。
二人はナナシが調査兵団本部にいた事に酷く驚いたようで
目を丸くしている。
「え?ええっっ!?何でここに・・・っ!?
いや・・・それよりもその姿は・・・・」
アルミンが言っているのは、ナナシがずぶ濡れになっている事だ。
何がどうしてそうなったのかという疑問の目をジャン達に
向けていると、クリスタから「この子と知り合いなの?」
という質問が飛んできた。
アルミンが正直にナナシの立場などを話しても良いのか
考え倦ねていると、ミカサが一歩前に出て助け舟を出す。
「そう、知り合い。何があったか話してほしい」
ミカサの問いにライナーが一連の出来事を話すと、
彼女は一つ頷いて「あとは私達に任せて」と申し出た。
クリスタは心配そうな表情をしたが、すぐに
「知り合いなら任せた方が良いよね。この子の部屋も知らないし」
と言って身を退いたので、ナナシはミカサ達の方に
行くことが出来た。
取り敢えず誰もいない所へ行こうと歩き出した時、
ジャンが三人に声を掛ける。