第17章 104期生
新兵は座学の時間なので、訓練場にいたのは一年以上
調査兵団に在籍している兵士達だった。
ナナシは名簿と照らし合わせて、ノートに次々とデータを
書き込んでいく。
ナナシを知っている調査兵は、ナナシの姿を認めると
驚愕の表情をしながら頭を下げていった。
(データ収集をしているとわかっているので邪魔はしない)
「おう!ナナシじゃないか。身体はもう良いのか?」
「久し振りだな、ネス。シャネットは元気か?」
それでも話し掛けてくる人間はいるもので、
調査兵団の古株の一人であるネスが声を掛けてきた。
因みにシャネットは奥さんでも恋人でもなく、
ネスの愛馬の事である。
彼に奥さんや彼女が出来たという話は聞いていないので、
無難な話題を振る。
「シャネットはおまえと違って元気そのものだ。
エルヴィンに頼まれてデータ収集か?」
「あぁ、私のいない間に入った兵士達のデータを纏めて
訓練メニューを作れと言われている」
「そうか、やっぱり!おまえの考える訓練メニューをこなすと、
腕が上がったように感じるから頑張ってくれ!出来れば
俺の方も見てもらいたいものだが・・・」
「残念ながらそんな余裕は無い。早くこれを仕上げて
古城に戻らねば・・・」
古城という言葉にネスの表情が真剣になった。