第17章 104期生
エルヴィンからの要請を受け、名簿に書いてある人物の
身体能力を調べる為、ナナシは調査兵団内を歩いていた。
名簿を見るとそこにはこの前会ったエレンの幼馴染の名前もあり、
ナナシはその姓に眉を寄せる。
「・・・・ミカサ・アッカーマン?」
―――アッカーマン・・・・。
昔その姓を持った人間は迫害されていた。
『迅鬼狼』の中にもアッカーマン姓の者がいたが、
偽名を名乗らせて欲しいと頼まれた程に、
何故かアッカーマンが王政に弾圧されていたのを覚えている。
だが、同時に唯一人だけ毛色の違う『アッカーマン』が
いた事を思い出した。
弾圧してきた王政に従い、暗殺などを請け負った男が一人・・・・
―――――ケニー・アッカーマン。
ナナシも何度か命を狙われたが、
その度に撃退してきた事を思い出す。
彼はプロフェッショナルで、自分が不利と見れば
すぐに退散する事も厭わない男だった。
だからいつもトドメを刺そうという時に逃げられてしまい、
何度も襲われるという事態に発展していたのだ。
「ミカサはケニーを知っているだろうか?」
ミカサとケニーが親戚だというのは姓を見ればわかるが、
だからと言って彼女がケニーを知っているとは限らないし、
ケニーが未だ生きているかもわからない。
「杞憂に終われば良いが・・・」
独り事を漏らすとナナシは兵士達が鍛錬している訓練場へと
足を向けた。