第16章 どうしようもない男
やがて、エルヴィンの呻き声が聞こえなくなり、
執務室が静かになったかと思うと、やっと扉が開いた。
扉を開けたのはナナシでミケとナナバを見ると
「何だ居たのか。もう入って良いぞ」と快く(?)二人を
室内に招き入れてくれた。
入室し二人が見たものは、ソファに身体を投げ出しながら
座っている・・・灰色になっているエルヴィンだった。
どこぞのボクサーのように「灰になっちまった」というポーズを
しているエルヴィンの身体には一見して拷問の痕は
見受けられないが、逆にそれが恐ろしいと二人は思う。
多分、服の下は鍼で刺されまくって穴だらけなのだろう・・・。
絶対ナナシの逆鱗に触れてはいけないと心に誓う二人だった。