第15章 エレンの幼馴染
「だから、ミカサはエレンが酷い目に合っていると思い、
私に攻撃を・・・。成程、合点がいく」
「ちょ、ちょっと待って下さい、ナナシさん。俺とミカサは・・・」
あからさまに狼狽えながらエレンはナナシに話し掛けたが、
ナナシはミカサに向き直り頭を下げた。
「大事な人を傷つけて申し訳ないが、
これは彼を強くする為の訓練だ。わかってほしい」
普段ミカサはほとんど無表情だが、発想が飛躍した
ナナシの言葉を聞いて頬を紅潮させ口元に笑みを浮かべた。
―――自分はエレンと恋人に見える!
しかも、この人は団長の恋人で、エレンと私が会えるようにも
してくれた、謂わば恩人のような存在。
その人が私のエレンを強くしようと頭を下げてくれている。
・・・・ミカサの中でナナシの印象が『白チビ』から
『自分達の恋を応援してくれるナナシさん』に変わった瞬間だった。