第13章 駄々
ナナシにはエレンを強化して貰わなければならず、
必然的に一緒に行動する事が多くなるだろう。
自分の采配とはいえ、敵に塩を送るような行為に溜息が出てしまう。
「私はもう本部に戻るよ」
エルヴィンが席を立つと、ナナシは厨房にエルヴィン用
(とミケ、ナナバ用)に用意したコロッケサンドの袋を
取りに行った。
その後姿を見つめつつ、エルヴィンはエレンに話し掛ける。
「エレン、本部に帰ったら君と仲の良い同期が気軽に
会えるように取り計らっておくよ。まぁ、会える場所が
限定されてしまうが、それでも以前よりは気安く会えるはずだ。
君に負担ばかり掛けてしまっている事を申し訳なく思っている。
これで少しでも君の心が晴れると良いのだが・・・」
エルヴィンの言葉を聞いてエレンはわかりやすく
嬉しそうな顔をして、勢い良く立ち上がると敬礼した。
「ありがとうございますっ!エルヴィン団長!」
「礼はそれを進言したナナシに言ってくれ。では、失礼する」
エルヴィンが食堂を出た所で、紙袋を持ったナナシが
やって来たので、食事中のエレンを残し、二人は食堂を後にする。
廊下を歩きながら、エルヴィンはナナシに言葉を掛けた。