第13章 駄々
「・・・そう・・・なんですか?」
「まぁ、概ね間違いではないな。此奴がどうしても
お弁当を作って欲しいというものだから・・・」
「そうですか・・・」
心無しシュンとしてしまったエレンに、ナナシは首を傾げる。
何故この子はこんなにも落ち込むのだろうか?
エルヴィンのように『自分だけ特別扱いして欲しい』という願望?が
あるのか?
まぁ思春期の子供だから、構って欲しいというのは
あるのかもしれない。
ナナシとエレンの心中を正しく読み取っていたエルヴィンは、
内心冷や汗を流していた。
ナナシの鈍感さに今回は救われていると言っても良い。
はっきり言ってエレンはナナシに懸想をしている。
本人に自覚があるかどうかはわからないが、
好意を抱いているのは間違いないだろう。
まさかこんな所に伏兵が現れるとは・・・と、
こっそり奥歯を噛み締めた。