第13章 駄々
また始まった子供の駄々にナナシは額に青筋を立てながら、
一つのパンをエルヴィンの口の中に無理矢理押し込んだ。
「ほら、これでお主が一番最初に味わったことになったぞ?
文句はないな?」
「ほういうほほをひっへいひゅはへははい
(そういう事を言っている訳ではない)」
「すまんが、何を言っておるのかよくわからんな」
グイグイと口の中にパンを押し込んでいるのだから、
エルヴィンが喋れないのは当然であるが、
彼の嫉妬心がいい加減うざくなったので、
ナナシも手を抜かない。
「あー、あとコロッケサンドなのだが、
ミケとナナバにも届けておいてくれ。途中で全部食うなよ」
「ひゃんひゃって!?ひゃへだ!?(何だって!?何故だ!?)」
「以前沢山世話になったからに決まっておろう?
二人に渡さなかったら、もう二度とお主に何も作ってやらんぞ」
「・・・・・・・・ぐぬぅ」
言葉が通じているじゃないかとか、何故ミケやナナバにも
あげなければならないのかという思いがエルヴィンの中で
沸き起こったが、ここで拒否したら本当に何も作って
もらえなくなるので、首を縦に振るしかなかった。