第13章 駄々
「団長、エレンが目を覚ましました」
「そうか。それで彼の体調はどうだ?」
「今ハンジ分隊長が診断を行っていますが、
自分の見る限り疲労感はあるものの問題は無さそうです」
「わかった。ハンジの診断が終わり次第、また報告を頼む」
「了解しました」
団長からの指示を受けてグンタはすぐ去って行った。
ナナシはエルヴィンの変わり身の早さに驚愕しつつも、
エレンが起きたならお腹が空いているだろうと思い、
昼食用のスープを温め直し始める。
リヴァイ班用に多めに作っておいた焼きたてのパンも
エレンにあげようと、パンをトレイに移した時、
またエルヴィンの手に掴まれた。
「待て、そのパンは『私の為』に作ってくれたんじゃなかったのか?」
「そうだ。だが、リヴァイ班の分も作っていた。
どうせならエレンに焼きたてのパンを食べさせて
やりたいではないか」
「いや、全然やりたくはない。一番最初に口にするのが
エレンという時点で納得いかない」