The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第8章 Device ー仕掛けー
……すると……、
ザックが大きく、歪な形をしたその岩の前で、大きくつるはしを振り上げた……。
『……え。』
ーガンッ‼‼ー
声を上げた私を気にするわけでもなく、ザックは躊躇うことなく、つるはしを勢いよく振り下ろした。
その大きく響いた音に、私はほんの少しだけビクリ…と肩を震わせたのだった。
「っ……。
硬ってぇ…‼馬鹿かよっ‼」
……まぁ、でしょうね。
相変わらずだな、ザックは…。
勢いよく振り下ろされたつるはしの衝撃に、その大きくも歪な岩はびくともしなかった……。
____……1発だけでは…………。
苛立ったようにそう叫んだザックは、再びつるはしを握り直して、何度も、何度も…つるはしで岩を殴りつけた。
徐々に形を変えていくように見えた巨大な岩は、5〜6発目で完全に粉々に砕け散ってしまった……。
『……。』
「……。」
『…………。』
「……ははははは‼やってやった…っ‼
この石、手間取らせやがって……っ‼‼」
絶句する私をよそに、ザックはその砕け散った岩の欠片を踏みつけながら、嬉しそうな声を上げた。
「雑な墓石のくせに、頑丈に作ってんじゃねーよっ‼」
私はそんな様子を見て、呆れて溜息を吐いた……。
それから、そっと壁際に自身の身体を預けた。