The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第8章 Device ー仕掛けー
「……おい。」
『……何?』
第1墓場を2人で出た時……ザックが私に呼びかけてきた。
私は振り返ってそう返答する。
私達2人の歩は、一旦そこで完全に止まった。
「……お前、名前は?」
『……あれ?
言ってなかったっけ。』
「んなこと、もう忘れてんだよ。
良いからさっさと言え。」
……少し首を傾げた私に、ザックは不機嫌そうに顔を歪めてから、私を脅すかのように右手に落ち着いていたその大きな鎌を私に突きつけた。
けれど、私はそんなものは怖くなどない。
私は呆れて文句を言う気にもなれず、1つ溜息を吐いてから返答した。
『……如月、悠。
……それと、
脅せば何でも思い通りになると思ったら、大間違いだよ。』
「……うっせぇ。
悠だな、悠……。」
小さく頼りない声で、私の名前を確かめるようにそう呟いたザック。
私はそんなザックの様子にふっと微笑って、再び歩を進めた。
「……笑ってんじゃねぇよ。殺すぞ…。」
『怖くないよ。』
不機嫌そうにそう言ったザックに笑いながらそう返すと、ザックは小さく舌打ちをして私の後ろに続いた。